イギリスに蔓延する新型コロナ ボリス・ジョンソン株について
twitterで、「ジョンソン株」が少し話題になってます。
野党第一党党首が「ジョンソン株」とか言い出す英国に比べたら日本の野党なんて建設的・抑制的に過ぎると思う。
— 円転 (@enten01) 2021年7月15日
ロックダウン緩和でウィルス感染が拡大しているかららしい(下記アカウントは右翼のものらしいので注意)
この延期を受けて、判断を下した首相を皮肉って、(ボリス)ジョンソン株がトレンド入り。#JohnsonVariant https://t.co/GBVqCeRkdJ
— じぇーん🇬🇧 (@janeuklife) 2021年6月14日
こっちはまともなアカウント
イングランドのデルタ株はインドからと言われているような。インドからの渡航に制限をかけたのがとても遅かった(首脳会談があったので、ボリス・ジョンソンはそれまで制限かけなかった。そのせいで感染拡大したとして国会で労働党に「ジョンソン株」とか言われてた)。
— n o f r i l l s /共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) 2021年6月21日
ということで日本でも話題となった、ジョンソン株の党首討論(Prime Ministor Question)を見てみましょう。
Let's call the Delta variant what it is: the Johnson variant.#PMQs #JohnsonVariant pic.twitter.com/zXHvG8NmxU
— The Labour Party (@UKLabour) 2021年7月7日
UKの議会の議事録はこちらで読めます(英語ですが)
動画はこちら(英語ですが)
英語に自信がなくても、議事録を自動翻訳サイトにかけるとなんとなく意味が取れますね。
UKの事情には疎いですが、7/19にロックダウン制限をさらに緩めようとしているのかな。キア・スターマー労働党党首は、1日10万人の感染が心配されているが、病院からあふれる人数やなくなる人数は把握しているか、という質問をしていますね。その中で制限を緩めてデルタ株を広めている、ジョンソン株と呼ぼうみたいなことをスターマー党首は言っています。
それに対して、ボリス・ジョンソン首相は、ヨーロッパの中でワクチン接種がダントツに進んでいるから大丈夫だ、と正面から質問に答えず。そこからジョンソン節がさく裂。労働党のスターマー党首からの様々は懸念に対しては、自己隔離者を攻撃(attack)しているなどと話をずらし、7/19の制限解除に賛成か反対かを迫り(スターマー党首は反対とは述べていない)、反対するならば説得力のある明確な対案が必要と、どこかで聞いたことのあるようなことをいいだします。
党首討論をそんなに聞いたわけではないですが、
正面から答えない
↓
話をずらす
↓
被害妄想
↓
「反対だけのバーカ」
みたいなのがボリス・ジョンソンの定番の論法のように感じました。
批判ではなく対案というのは、こんな表現でした。
To oppose, you must have a credible and clear alternative, and I simply do not hear one."
「反対するには、説得力のある明確な対案を持っていなければなりません。しかし、私は聞いたことがない」
こういうのを聞くと、別に日本の与野党が特にレベルが低いわけではないんだなあというのを再確認します。違うとするならば、日本の首相と違って自分の言葉で雄弁に語っているということでしょうか。安倍や菅(すが)と同じレベルの内容を。
21世紀の今になってもUKでは「ジョンソン株」みたいな対人批判が許されているのを日本のモダンな若い方はびっくりするかもしれません。西欧譲りの議会・政党・大衆政治の本質は、案外プリミティブ(未開)なところにあるのかな、と思っています。
平河エリ氏も述べていましたが、本当にUKの党首討論は面白いですね。
P.S.
モダンな日本の若い人達の反応について。
私が五輪組織委員会の森会長の発言に対して署名活動をしたときも、森会長個人への署名ではなく、組織に対して再発防止や女性委員の割合の引き上げなどを求めるものにしました。その根本には、「個人攻撃」が好きではないというのがあります。
高校生の時にしていた活動の部屋に「手を挙げて発言しよう」みたいなルールブックがあったのを思い出します。そういった近代的で理性的なルールの先に彼女たちの言動があるような気がしています。
逆に、UKの場合は、そういった近代化の中でウェストミンスターの伝統文化の価値をいかに残すかという葛藤があるのかもしれません。伝統は変化の中で発見されるものです。私は良き伝統主義者でありたいと思います。