廃屋ログ

ごみ屋敷からの独り言

貧乏人は投票しないと1人当たり○○万円損をする

 かつて、若い世代の政治参加を高めるために、投票しないと一人当たり○○万円損をするという表現が使われてきました。これは経済学者・吉田浩の試算によるもので、これに対して、政治学者・飯田健により、詳細に批判されているようです。

飯田健(2013)「東北大学プレスリリースについての疑問と再分析」

http://txpolisci.sakura.ne.jp/replication.pdf

 それはともかく、政治参加教育の世界は別として、政治学や社会学の世界においては、社会経済的な地位が、政治参加の格差を生み出している、そして、ひょっとしたらそのことが社会問題をより悪化させているのではないかということが、ほぼ常識のように語られてきました。

学歴・所得による政治参加格差

 2015年に実施された全国的な大規模社会調査SSM2015のデータもとに分析した吉川徹によるならば、政治的理解・政治的関心の両方において、若年大卒と非大卒では大きく差があると言います。大卒では、7割超が「よく投票している」と答えているのに対し、非大卒では、半数も満たしませんでした。

▼選挙投票参加をしている割合

大卒と非大卒で投票政治参加の度合いを比較したグラフ。大卒の方がよく投票する傾向にある。

吉川(2021)より

吉川徹(2021)「政治から切り離される若年非大卒層」生活経済政策研究所『生活経済政策』 (288) pp.7-pp.11

https://cir.nii.ac.jp/crid/1521417755980889216

 

 同様な結果は、別の研究者も指摘しています。桑名祐樹は、早稲田大学の田辺俊介ら「国際化と市民の政治参加に関する世論調査」研究プロジェクトチームの2009年・2017年のデータをもとに、「非大卒・低所得・相対的に低い職業的地位に置かれている場合に投票棄権しやすい」と結論づけています。

www.keisoshobo.co.jp

拡大する政治参加格差

 この傾向は、年々強まっています。境家によるならば、1980年代においては、農村部などにおける動員によって教育水準による政治参加格差はなかったが、90年代半ば以降、都市・大卒の政治参加が活発になっていく一方で、動員構造の解体から、地方・非大卒の政治参加は後退していったということです。

▼教育程度と投票率のグラフ

明るい選挙推進連絡会の教育程度ごとの投票率の推移の調査。1996年以降、高学歴ほど投票率が高い状態が続いている。グラフの最後は2009年。

境家(2020)より

 経済力・知識・技能、場合によっては人脈を持つ社会経済的地位の高い人ほど、政治参加において有利であり、組織的動員なしには政治参加格差が拡大していくというのは世界共通と言えるかもしれません(このことも境家『政治参加論』に書かれています)。

www.utp.or.jp

www.jstage.jst.go.jp

多くのリスクと不満を抱えた弱者たち

 それでは、政治に参加しない社会経済的地位の低い人々は、不満を抱えていないのでしょうか。橋本は、非正規雇用の労働者や失業者が、身体や精神の健康の不安を抱え、主観的な幸福感に乏しく、将来への不安を抱いていることを明らかにしています。不安や不満はあるが、政治的有効感が低く、政治参加に繋げられない様子がうかがえます。政治的有効感については、建設・製造・販売などに従事する正規雇用のブルーカラー(橋本は「正規労働者階級」と表現)も同様に低いことが明らかになっています。

 

▼橋本による調査結果

2015年SSM調査

・必要な食料品が買えなかった

資本家階層(経営者) 5.3%、新中間階層(ホワイトカラー) 5.1%、正規労働者階級 7.8%、 アンダークラス(非正規労働者) 11.8%

 

2022年三大都市圏調査(インターネット調査、回答者4万3820人)

・健康状態が良くない

資本家階層(経営者) 11.8%、新中間階層(ホワイトカラー) 13.2%、正規労働者階級 13.6%、 アンダークラス(非正規労働者) 23.4%、 失業者・無業者 45.7%

・自分のような普通な市民には政治のことを左右する力はない

資本家階層(経営者) 18.4%、新中間階層(ホワイトカラー) 19.9%、正規労働者階級 24.6%、 アンダークラス(非正規労働者) 32.3%、 失業者・無業者 31.6%

www.kodansha.co.jp

消極的な現体制の追認 

 小林は、スマートニュースメディア価値観全国調査をもとに、世代が若いほど、教育水準が低いほど、主観的な階層が低いほど、そして男性よりも女性が、政治的関与を忌避する傾向があることを明らかにしました。「政治的なことにはできるだけ関わりたくない」といった設問について、弱者であるほど好意的に回答していたということになります。

 この政治非関与層は、明確な政治的な思想を持たず、政治知識も乏しく、あらゆるニュースとの接触を積極的に絶っている一方で、内閣の業績評価(調査時は岸田内閣)が高く、将来的な政治への不満が少ないようです。

 政治非関与層は、自助努力によって私生活を豊かにしていこう、生活の問題を個人の努力で解決していこうという志向が見られるようです。そして、私的な消費生活を充実させることを重視し、もし政治参加することがあるならば、私生活に資するかが判断基準になっているとされます。

 自助努力と私生活の充実を志向するが故に、権威主義を受容する可能性があるのではないか、と小林は指摘します。「治安を守るためにプライバシーや個人の権利が制約されるのは当然だ」という設問に対し、これらの人々は賛成する傾向を示した。治安は、私生活の安心・安全に直結するものだからである。ならばこれらの人々は保守主義と同じ立場なのか、というとそうでもないようです。「道徳教育を充実すべきだ」という問いの賛否とは、関連が示されなかったそうです。

 

小林哲郎(2024)「私生活志向は何をもたらすのか」池田謙一、前田幸男、山脇岳志編『日本の分断はどこにあるのか』勁草書房 pp.143-pp.172

www.keisoshobo.co.jp

  長期的な治安向上にもかかわらず、過去最悪レベルに体感治安が悪化する中で、政治と関わり合いを持ってこなかった人々が、「治安」を理由に政治参加する姿を想像することも難くはありません。

 

体感治安について

kanaben-kawasaki.jp

教育に何ができるのか

 生活の中の困難を社会構造による問題、もしくは、政治的な問題としてとらえなおす取り組みをしている高校があります。大阪府立西成高校では、「反貧困教育」という生徒達自身が置かれた境遇を見つめ、差別と貧困に立ち向かっていく教育カリキュラムがあります。西成高校のある大阪市西成区は、経済的に貧しい人々が多く住む地域であり、日本一投票率の低い場所でもあります。西成高校はステップスクール(多様な実践教育校)として、障害を持つ生徒や海外にルーツのある生徒、不登校児など、様々な生徒を受け入れてきました。

 貧困と差別の問題について自分たちで考え、それが当事者の自己責任の問題ではなく社会の構造の問題であると気づく学び。この学校の生徒にはヤングケアラーなどの当事者も少なくなく、生徒達のエンパワメントにもつながっていきます。シングルマザーについての授業では、各政党にアンケートを送りどのような反応が返ってくるのか比較するという内容もありました。

 政治参加弱者をエンパワメントしていくこういった取り組みこそ、政治参加教育・シティズンシップ教育としてもっと注目されていいのではないでしょうか。

shinsho-plus.shueisha.co.jp

mainichi.jp

スウェーデン民主党はどこから票を奪ったのか

 スウェーデンでは、先月、総選挙があり、これまで毎回議席を伸ばしてきたスウェーデン民主党の躍進が頭打ちになった、もしくは後退したと話題になりました。

 そこで、過去の出口調査のデータをもとに、スウェーデン民主党はどの層の票を奪って躍進してきたのか、調べました。

 そこでわかったのが、伝統的な左派政党の支持層である労働者においては、左派政党の票を奪い、伝統的な右派政党の支持層である経営者・農家においては、右派政党の票を奪っていました。

 ここで言う伝統的左派政党は、社会民主労働党・左翼党・緑の党、伝統的右派政党は穏健党・キリスト教民主党・自由党を指します。途中で、右派ブロックから左派ブロックに映った中央党はどちらにも含めていません。

民間労働者(ホワイトカラー含む)の党派間の得票率の推移。伝統的左派政党が得票を減らし、スウェーデン民主党が増えているのがわかる。

経営者と農家の党派間の得票率の推移。伝統的右派政党が得票を減らし、スウェーデン民主党が増えているのがわかる。

 スウェーデンでは、社会階級ごとに投票先が決まっている状態が続いてきました。労働者、特にブルーカラー労働者は左派政党、経営者は右派政党に投票するというのが、当たり前でした。これは21世紀においても、伝統的な右派政党に投票する労働者はさほど増えず、伝統的左派政党に投票する経営者も増えていません。

 他方で、極右・スウェーデン民主党は階級を超えた存在であることがわかります。労働者に対しては伝統的な左派政党に対するオルタナティブ、経営者に対しては伝統的な右派政党に対するオルタナティブとなってきたのでしょう。

 スウェーデンと言えば、日本では「選挙小屋」が有名ですが、右派から左派まで、全ての政党をフラットに見て選んでいる有権者は稀であり、今でも社会階級に規定された限定された選択肢の中で選んでいるものと思います。


▼世論調査情報

www.svt.se

資料:日本の現役世代エリートの権威主義化について/リベラルはなぜ敗けるのか

 現役世代のエリートの権威主義化について、多くの先行研究が積み上げられていながら、まだ、一般には、認知されていないと感じています。先行研究をまとめました。

進むエリートの権威主義化

●松谷満(2014)「どうして「社会は変えられない」のか」数土直紀編『社会意識から見た日本』有斐閣 pp.144-166

・2010年SSP調査
・高学歴層の反権威主義意識が低下している。
・子どものころ(15歳時)の家庭の経済状況について「余裕があり」と答えた人ほど権威主義的になる。実家が「太い」エリートほど権威主義的になっていると推測される。

●渡辺健太郎(2019)「日本の〈文系大卒男性〉から失われはじめた「リベラルさ」」『現代メディア』講談社
・2015年SSP調査
・文系大卒男性で権威主義化が顕著である。

日本の〈文系大卒男性〉から失われはじめた「リベラルさ」(渡辺 健太郎) | 現代ビジネス | 講談社

松谷満(2026)『「右派市民」と日本政治』朝日新聞出版
・2017年の首都圏・郵送調査(対象1万人)

・首相・閣僚の靖国神社への公式参拝や戦後教育の見直しといった大日本帝国との連続性を求める回答をした人は6%で、回答者の学歴は大卒が多めの傾向。
・政党の好悪を11段階(0~10)で表現した場合、日本共産党・立憲民主党の両方を「0」(最低)と回答し(自由民主党を「5」以上と回答)した人は全体の5%で、内訳は現役世代(若年・中年)の大卒層が目立って多い。
・嫌韓/嫌中(回答者の13%)は、世代・学歴との関連が薄い。同性愛や選択的夫婦別姓に反対する意見(回答者の4%)は高齢者に偏っている。

 

橋本健二(2025)『新しい階級社会』講談社

・2022年三大都市圏調査(東京・大阪・名古屋、インターネット調査、回答者4万3820人)、2015年SSM調査

・政治意識についての複数の質問についての回答傾向に合わせて五つのクラスターに分ける。

・所得再分配に否定的で排外主義傾向が強い回答者のグループ(「新自由主義右翼」と命名)は、他のグループに比べ高学歴・高所得・政治参加意欲の高い傾向にある。

失われる大学教育の啓発的効果

濱田国佑(2021)「大学は民主主義的な価値観を育むのか」『北海道大学大学院教育学研究院紀要』vol.138, pp.181-194

・2015年SSP調査
・大学教育により権威主義態度が弱まる傾向は、1995年から2015年の間でかなり弱まっている
・大学教育を受けることで格差容認態度が強まる。1995年と比較して2015年の方が格差容認態度はより強まっている。
・権威主義的態度への大学教育の影響は低下している

大学は民主主義的な価値観を育むのか | 北海道大学学術成果コレクション : HUSCAP

 

失われるノブレス・オブリージュ

岡本航希ほか(2024)「学歴エリートの「貴族的責任感」の実証的研究」『土木学会論文集』Vol.80, No.20,pp.1-12.

・2024年webアンケート調査・回答数1500
・社会学的研究が大卒層一般をエリートとして扱うのに対し、この研究では有名大学や医学部出身者を学歴エリートとして扱っている
・50代以上の学歴エリートは、「貴族的責任感」が高く、「謙虚」だが、50代未満の学歴エリートはそのような傾向がなく、非学歴エリートと同等である。

学歴エリートの「貴族的責任感」の実証的研究



なぜリベラルは敗けるのか~理性偏重のリベラリズムに抗って~

<2024/8/26 Mastodon初出の投稿の転載>

 星野智幸氏の論考が話題ですが、彼の議論の中の価値観で、良いものと悪いものが明確に示されていて、それがとても古典的なリベラリズムに則っているな、と思いました。

digital.asahi.com

<良いもの>
個人・理性・対話

<悪いもの>
集合的アイデンティティー・宗教的なもの・依存

 日本国憲法を支える思想たる社会契約説の人間像はまさに「自立的・自律的・理性的」であることでした。星野氏はまさに戦後民主主義の申し子であるといってよいでしょう。自律的で自発的な「市民」を松下圭一はじめ日本のリベラルは尊んできました。

 他方で、日本のリベラルが知らないところで、リベラリズムの排他性が批判されています。理性の絶対化によって、障碍者や女性が排除されているのではないか、と。

杉本 竜也(2018)「社会契約説とケアの倫理における人間像・市民像の比較考察 : 理性の絶対視・絶対化の功罪」日本大学法学部法学研究所『法学紀要』60 p. 255-287

https://cir.nii.ac.jp/crid/1520290882847548160


 また、星野智幸氏のような理性偏重のリベラルについて、10年も前に吉田徹氏はこう批判しています。

日本のリベラルは、例えば自民党政治を、地縁でずるずるべったりだとか、前近代的な結びつきで成り立っている政治を「非合理的だ!」と断罪をしてきたわけですよね。あるいは共産党はイデオロギーだし、公明党は宗教だといって、既存の政治と人とのつながりをどんどん排除しようとしてきた。そこで「民主主義とは、合理性に基づき、市民が納得して政治に参加すること」と定義を上書きしていこうとしている。でも、その処方箋ははたして本当に有効なのか。

https://synodos.jp/opinion/info/12181/

 

 そこで、「理性」のみならず「感情」もまた政治を支える両輪だと論じるわけです。

 日本の進歩的な人々に求められるのは、感情を大切にできるか、ということなのではないでしょうか。



 星野氏の使った「正義依存」という言葉が、批判を誘発しています。私は一つ思い出す講演録がありました。桜井啓太氏の「自立・依存・支配を考える」という講演会です。

 桜井氏は、依存は人間の本質的な特徴であり、自分で自分をコントロールしないといけないという近代社会の方が病理的であると語ります。桜井氏は、問題は依存ではなく、アルコールや薬物などによってその人が支配されていることにあるのではないか、と提起します。

 そのうえで以下のように指摘します。

依存だと、自己コントロールできない、意志の弱い個人の問題になってしまいますが、支配と言った場合、何に支配されているのかという構造の問題を問うことができる

www.foro.jp


 ここで読み返したいのが、2013年に星野氏が書いた論考です。
 彼は、日本の人々はナショナリズムに依存していると嘆きます。その状況を変える為に「強権的な政権を批判するだけでは不十分」であり、「自分の中にある依存性を各々が見つめる」ことを求めます。権力の支配の問題が個人の自己コントロールの問題にすり替わってしまうのです。

 

digital.asahi.com
P.S.

 「日本ほどナショナルなものが否定的な意味合いを付与されている国はむしろレアケース」と語る吉田と、ナショナリズムをカルトの論理と語る星野では、すごく対照的だな、と思います。

 日本の戦後80年間の運動史を自分達のアイデンティティにしなければならないのではないか、と私は思います。日本の進歩派は、海外の先行事例ばかり輸入してリセットするので、歴史がない。シンボルにできるものがないから負けるのではないでしょうか。

なぜ杉並・自民は敗れるのか~内輪の論理の必然~

 2026年杉並区長選、四半世紀ぶりに独自候補・大和田伸氏(区議・議長経験者)を擁立した杉並区の自由民主党は、進歩系の現職・岸本さとこ氏に、ダブルスコアの差をつけられて大惨敗してしまいました。なぜ、敗北したのか、大和田陣営を取材した新聞記事から振り返ります。

大儀なき内向きな候補者擁立

 今回の候補者擁立はとても内向きなものだったようです。前回選挙から経緯を振り返ります。

 現職の岸本さとこ氏は、前回、僅差で当時の現職田中良氏を破り当選しました。様々な政治腐敗がささやかれる剛腕・田中氏の政治手法に関しては、自民党内でも意見が割れ、自民党会派が複数に割れることになりました。議場での反田中派の女性自民党区議の質問に対し、田中良氏は机を叩いて罵声を浴びせるほどの対立に発展、にもかかわらず当時の自民党の代議士石原伸晃の圧力で、前回区長選では自民党は田中良推薦に回ることとなり、党内に大きな分裂を残すこととなりました。

 区長選で敗れ、区議選で半数の議員を失い、自民党内で主導権を握ったのが、大和田伸氏ら反田中派の区議たちでした。朝日新聞の取材によるならば、党内の分断を乗り越え融合を図るための目標が、区長選挙での党独自候補の擁立だったとのことです。岸本区政の評価、区民生活の向上ではなく、内輪の論理での対外的大儀なき候補者擁立論は、必然的な敗北を招くこととなります。

東京都杉並区長選、現職の岸本聡子氏が再選 自民推薦の前区議ら破る [東京都]:朝日新聞

22年の前回区長選ではリベラル系の岸本氏が初当選。23年の区議選で自民の議席は半減した。分裂していた会派をまとめる際に掲げた目標が、区長選で推薦候補を擁立することだったという。

前職・田中良氏との自民票争奪が失わせた無党派層への展開

 前回の敗者、田中良氏は雪辱を晴らすべく今回の区長選挙にも立候補しました。朝日新聞の報道によるならば、昨年秋の段階で田中氏との候補者一本化の働きかけが行われていたと言います。田中派自民党関係者の一部がまだ、田中氏の復権のために活動しており、党内の融合の障害になっていたものと思われます。

杉並区長選、自民が全力「セット」戦 区議補選に岸田元首相の愛弟子 [東京都]:朝日新聞

 複数の関係者によると、昨秋、区長選をみすえ、自民側と前職の田中良氏(65)側で、現職の岸本聡子氏(51)に対抗するため候補者を一本化する動きがあったという。

 自民が支持層として期待する地元の経済団体や自民の元区議らが田中氏の応援に回ると見込まれ、「保守票」が割れる懸念があったためだ。だが、交渉はまとまらなかった。

 本人もまたこのように証言しています。

ダースレイダー「門ひろこさんに出るなと言われたのは本当ですか」

田中良「出るなではないな。降りろと言われたみたいだよ」
ダースレイダー「頑張ってください」
田中良「政党のね、なんだ国会議員の家来を選ぶ選挙じゃないんだから」

ダースレイダー「党より人を」(田中良氏のキャッチコピー)
田中良「そうです」

 一本化交渉には挫折しますが、その後も田中氏に自民票が流れることを危惧した行動を大和田陣営は採っていきます。大和田陣営は、立候補の意思を表明後、区内全域にポスターを貼っていきます。それは、高市早苗首相・門ひろこ代議士・区議補選予定候補の杉浦氏との四連の「自民党」と書かれたポスターでした。日本の首長選挙では、どのようなバックグラウンドがあっても選管には「無所属」として届け出を行い、幅広い支持獲得を狙います。このポスターはセオリーに反するものでした。「日本列島を、強く豊かに」と書かれても、杉並区をどうしたいかイメージがつきません。

自民党の4連ポスター 門ひろこ・大和田伸・高市早苗・杉浦がくしの顔写真がある。「日本列島を、強く豊かに。自民党」と書かれている

 一つの狙いは高市人気にあやかることだったのでしょうが、自民党に近い層を固められない焦りからの行動とも考えられます。自民党色がどんどん強化されていく一方で、この地域において大きなボリュームを占める国民民主党・日本維新の会・チームみらいに投票する層へのアプローチは後回しとなり、超党派・無党派の支持獲得のポテンシャルを失っていくこととなります。

 岸本陣営は、この大和田陣営の失策を見逃しませんでした。古臭い癒着政治や利権政治・自民党関係者の為の政治をしている勢力との闘いというフレームを用意し、そこに巧みに追い込んでいくこととなりました。

 選挙の直前に、政党名のないポスターに貼りかえられましたが、その時にはすでに勝負は決していたのでしょう。

ビジョンなき対立、有権者離れした右傾化、対立の為の対立、そして自滅

 大和田氏は「アップデート杉並」をキャッチコピーに選挙戦を戦いました。「アップデート」とは、「更新」「改訂」を意味する言葉であり、現状の方向性で改善を入れていくことを意味するはずです。本来は、現職に挑むならば「対抗軸」を明確にしたメッセージを打ち出さないといけないにもかかわらず。進歩勢力には革新自治体以来の、直接民主主義志向の政策パッケージがあります。それに対し、自民党サイドは政策革新を起こすことができず、杉並区のような豊かな自治体においては、国や都道府県とのパイプも必要とされず、何ら施策に特徴を表せず、四半世紀にわたり負け続けてきたのでした。

 極右の田中ゆうたろう区議らの存在も大和田陣営を不利に追い込んだのではないでしょうか。極右からのプレッシャーから現職とイデオロギー的対立を演じざるを得ませんでした。 今回の選挙の構図の中では、進歩系の現職・岸本さとこ氏だけでなく、杉並の歴史教育の右傾化を止めた経験のある前職・田中良氏、国際経験をアピールする増田氏とリベラルな空気が醸し出される中で、一人イデオロギー対立を前面化し、浮いてしまうこととなります。過去の研究でも保守政治家は大選挙区での保守政治家同士の競争で有権者の平均を越えて右傾化すると指摘されており、この選挙でも明らかに影響しました。

日本は「右傾化」したのか - sunaharayのブログ

 冬の総選挙で初当選を果たした自民党・門代議士も、SNS上で論戦を張っていきました。現職との対決を明確にするために、あれこれ主張をする訳ですが、批判の為の批判があだとなります。地域の活性化や高齢者の健康のために街の中にベンチを増やしていくという岸本さとこ氏の取り組みに対し「ままごと」と批判、地方自治の現場を知らない主張が炎上し、区内だけでなく、他自治体の国民民主党の議員からも批判を浴びるありさまでした。

 岸本支持者からの、大和田伸氏と自民党は、反対ばかりという批判に向き合わざるを得なくなり、「批判」ぎらいな今時の日本人の支持を失い、岸本さとこ氏の「対立より対話」というスローガンがどんどん説得力を持つようになりました。このようにして、大和田陣営は自滅していったのです。

国政野党のような敗北

 確かに現職の二期目は強い。最大の敗因はもちろん相手が二期目の現職だからです。しかし、朝日新聞の出口情報の記事へのJX通信・米重氏のコメントにもあるように、区民の岸本区政への評価は並(JX通信の告示前の調査で岸本区政への肯定的評価は54%)で著しく高いわけではない。差を縮めることも逆転することも不可能とは言い切れなかったはずです。しかし、大敗してしまいました。

杉並区長選は現職の岸本氏が優勢、自民推薦候補ら続く 朝日出口調査 [東京都]:朝日新聞

【告示前情勢調査】4人の激戦の杉並区長選で支持政党別の投票意向は?関心の高い争点は? | 日本最大の選挙・政治情報サイトの選挙ドットコム


 振り返って思うのは、大和田陣営は国政野党のような敗北をしているということです。さきの総選挙で中道改革連合が急に発足した際には、支持者の離反を食い止めることが精いっぱいであり、レンジの広い主張ができず、これまでなんとなく立憲民主党に入れていた中間層を失うことになりました。政権担当能力が疑われるようなビジョンのなさ、内輪の論理、これは国政野党と区政野党(自民党)で共通する課題であり、明日は(今も)わが身だなと、痛感させられました。

選挙制度を考える~定数を変えずに課題解決~

突然、日本維新の会のせいで話題に上がった比例代表の定数削減。自民・維新以外の政党はほぼすべて反対、自民党内からも反対意見があがっている。
しかしながら、定数を削減しないまでも、現行の選挙制度は課題を抱えている。「1票の格差」問題のため、数年前に区割り変更を行ったが、過疎と過密、人口の不均衡の為、アダムス方式の採用など無理くり何とかやり切った感が否めない。数年後に必ず発生する、次の区割り変更は困難だと思われる。にもかかわらず、定数削減という全体像を見ない議論をやっている訳だ。ということで、全体の定数を増減させずに、課題を解決してみたい。

現行の課題

持続可能ではない選挙制度
・過疎過密に対応して選挙区数を変更すると、大都市圏では自治体を切り刻んで入り組んだ選挙区が生まれ、人口の少ない県では選挙区消滅(合区)の危機に瀕する
 →選挙区割が困難に
・定数の少なすぎる比例ブロック(四国ブロック)が存在し少数意見を反映できない

解決策

★選挙制度を大幅に変えずに適応する
・小選挙区のみで「1票の格差」の是正を目指さず、小選挙区と比例代表の議席の合計数で、「1票の格差」を是正する
・大都市圏では1995年レベルに小選挙区を減らし、差分を大都市圏の比例代表に回す
・小選挙区数は修正サン=ラグ方式で計算し、人口の少ない都道府県に配慮する。小選挙区数の全体が増えるため、比例代表の議席が減少する
・大都市圏を除いて、東日本・西日本の2ブロックとする。上記理由で比例代表の定数が削減されるが、比例代表ブロックの定数を大きくすることで弊害を減らし少数意見の反映に配慮する

 

<総議席数>

・以下のように、全国をブロックに分け、ドント式で、各ブロックの総議席数を割り振る
東日本1(北海道・東北・北関東・甲信越・東海)・東日本2(東京以外の南関東)・東日本3(東京)・西日本1(北陸・近畿(西日本2除く)・中国・四国・九州)・西日本2(大阪・兵庫)

<小選挙区数>

・一番人口の少ない県が、2選挙区以上になるように、修正サン=ラグ式で、全都道府県の小選挙区数を割り出す。
(総議席数算出のブロックは関係なく計算する)

・東日本・東日本3・西日本2は、1995年当時の小選挙区数とする。

<比例代表議席数>

・各ブロックで、総議席数から小選挙区数をひいた数を、比例代表議席とする。

  エリア 都道府県 総議席数 小選挙区 比例代表
東日本1 北海道・東北・北関東・甲信越・東海   135 95   40
北海道 15
青森県 3
岩手県 3
宮城県 6
秋田県 3
山形県 3
福島県 5
茨城県 8
栃木県 5
群馬県 5
新潟県 6
山梨県 2
長野県 6
岐阜県 5
静岡県 10
愛知県 20
三重県 5
東日本2 埼玉・千葉・神奈川   89 43   46
埼玉県 14
千葉県 12
神奈川県 17
東日本3 東京   54 25   29
東京都   25
西日本1 北陸・近畿(西日本2除く)・中国・四国・九州   132 96   36
富山県 3
石川県 3
福井県 2
滋賀県 4
京都府 7
奈良県 4
和歌山県 3
鳥取県 2
島根県 2
岡山県 5
広島県 7
山口県 4
徳島県 2
香川県 3
愛媛県 4
高知県 2
福岡県 14
佐賀県 2
長崎県 4
熊本県 5
大分県 3
宮崎県 3
鹿児島県 4
沖縄県 4
西日本2 大阪・兵庫   52 31   21
大阪府 19
兵庫県 12

残った課題

・大都市圏の中では、十分に議席のある比例ブロックをつくれないため、愛知・福岡の小選挙区を作れず。
(愛知を東日本3、福岡を西日本2に参入する方法もあるが地理的なつながりはない)
・小選挙区議席:比例代表議席の比率が、地域で不均衡。本当に「1票の格差」は是正されたか?

緑地保全について小金井市議会・審議より

2019年第2回定例会 2019/6/5 一般質問(坂井えつ子)

坂井えつ子(緑・つながる小金井/緑の党グリーンズジャパン)
「生物多様性とは、生き物だけの話ではない。生物多様性地域戦略を市民参加で策定しようです。これまでも質疑で出ているんですけれども、改めまして生物多様性とは何でしょうか。」
環境部長
「それでは、生物多様性とは何でしょうかというシンプルな質問だったのかなとは思います。我々としては地球上の生き物、当然人間も含まれるとは思いますけれども、長い歴史の中で様々な環境に適応し進化し、多様な生き物となって存在して、これら一つ一つは個性がありまして、全てが直接的であり間接的であり、ともに支えあって生きているという考え方でございます。私たち人間は水や空気を始め、衣食住など生物多様性から様々な恵みを受けて日々を生活しています。一方で、私たちの生活は生物多様性に様々な影響を与えていることから、この豊かな生物多様性を計画的に保存するということで、その恵みを将来にわたり享受できる社会を実現させていこうという考えに基づいて、国で施策の方をまとめ、生物多様性国家戦略を定め、また基本法を作り、やってきているところでございまして、自治体にはそれに対しての努力義務というのを求められているところでございます。」
坂井えつ子
「地球上の生き物、人間を含むということで、おっしゃるとおりだと思っておりまして、生物多様性という言葉からは、生き物や緑といった自然環境に直接関わることと思われがちですが、そうではないということです。生き物や緑と人間は切り離して考えることができない関係にあります。2014年環境省作成の生物多様性地域戦略策定の手引きや、2017年環境省発行の生物多様性地域戦略のレビューにもあるんですが、自然、資源、生き物以外に住環境の快適性、グリーンインフラによる住環境の向上や防災、減災、市民参加型による調査や計画策定、一次産業への就労、一次産業のブランド化、地産地消、食文化、二次産業への活用、三次産業への活用、観光資源、観光ガイド育成、教育やレクリエーション、健康など、幅広い分野に関わることがこの生物多様性なんですね。縦割りになりがちな分野を生物多様性地域戦略によって横断的につなぐことができる、地域の課題解決の方策を示すものになるので、小金井市特性に合わせた戦略策定に私はとても大きな期待を寄せていて、ちょっと珍しくわくわくすることなんですね。いかがですか。私だけですか。この生物多様性地域戦略の策定については、以前も田頭議員が質問されておりまして、小金井市では職員が積極的に研修に参加したり、他自治体の事例も収集し、研究、検討に役立てているということが分かっていますが、現時点での進捗状況をお聞かせください。」
環境部長
「小金井市の生物多様性を保存するためには、自然環境の保全等に取り組むことも必要であると考えております。また同時に、近年話題になっています、例えば外来動植物に対する対応なども重要ではないかなと考えているところでございます。市では現在、生物多様性の取組について、第2次環境基本計画の中の重点的取組に位置付けて取り組むとともに、緑の基本計画における緑のネットワークの形成を基本とした公園等整備基本方針を策定し、生物多様性の保全も意識した公園づくりについても検討を始めたところでございます。また、外来動植物の対応につきましても、全てがなかなか行政で行うというのは非常に難しいなという側面もあるのかなとは思っておりますので、まずは正しい知識を市民に周知することが重要と考え、分かりやすい周知の方法等については市内の環境団体等とも知恵をお借りするなどして進めさせていただきたいと考えているところでございます。」
坂井えつ子
「基本的には環境基本計画の中に入れてということなんですけれども、もったいないなと。環境基本計画策定となると、やはり主には環境に知識や興味、関心のある方が集まっていくことになりますが、申し上げたとおり、これは地域作りに関わることなので、本来は単独で作っていただきたいなと思っています。生物多様性に無関係な人やものはないので、様々な立場の人と計画を作っていくことができる、各現場にいる市民や広く市民のニーズを調査して、全庁的に横断的に取り組んでいくことができるものだと、私は思っているんです。ちなみに、2017年環境省発行の生物多様性地域戦略のレビューでは、既に策定されている地域戦略、各自治体のものも調査しています。そこでは、生態系サービスの利用に踏み込んだ地域戦略は相対的に少ないということが示されています。先ほど申し上げた住環境の快適性とか、地産地消、グリーンインフラ、教育や健康といった分野です。この多様な人、全ての人に関わる生物多様性ということ、小金井市で作るということですので、やはり小金井市の魅力は現場にいる市民がよく知っています。市民参加で作っていただきたいと思っておりまして、例えば、本日2問目で質問したはけや野川もそうですね。近隣の方がムジナ坂の清掃ボランティアをやっていたりとか、地域の方の憩いの場になっていたりしているわけですね。それが交流につながっていたりとか、観光にもなっているということで、このはけや野川を保全することも、私的にはこの生物多様性地域戦略という視点でも取り組むことができるものだと考えています。小金井市の資源をいかして、小金井市の魅力を再発見できる、とても期待がある、私は期待を寄せている生物多様性地域戦略を市民とともに策定していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。小金井市の魅力をいかした生物多様性地域戦略の策定を望みますが、いかがでしょう。」
環境部長
「実は先日開催いたしました滄浪泉園の40周年記念イベントというものがございまして、そちらに400人を超えるほどの方々が当日ご来園いただいたところでございます。当日は、スタンプラリーといって、いろいろな講座をやりながらスタンプを押していただいて参加いただいた方々に、カブトムシの幼虫を配布させていただいて、子どもたちも非常に喜んでいただきました。実はこのカブトムシの幼虫が市内の滄浪泉園ですとか、それから浴恩館公園、または市内の農家などへ行って、職員の方が採取してきたものを、当日お子様たちにお配りさせていただいたところでございます。都心に近いこの小金井市で今なおカブトムシの幼虫が市域のあちこちでとれるのは、小金井市内に広葉樹が多く育まれていて、ここから落ちた枯れ葉を利用して腐葉土を作る農家が多くいらっしゃることが、虫たちが自由に行き来できる環境がまだ残っているということを示しているのかなと我々は考えております。
 環境政策課といたしましては、今後も様々な機会を通じて、生物多様性を育む豊かな自然環境があることのすばらしさを普及、啓発し、適切に保存していきたいと考えておりますし、生物多様性の恩恵を小金井市の豊かな自然環境が保存し、またこれを活用し、将来世代へ引き継いでいくことは私たちの責任であると認識しております。
 現在、小金井市の生物多様性地域戦略につきましては、環境省の生物多様性地域戦略策定の手引きにおいて、地域戦略を環境基本計画の一部とするなど、地域の状況に合わせて他の分野の計画と一体として作成することも可能とされていることから、令和3年4月に改定を迎える第3次小金井市環境基本計画の中では第2次計画の内容を更に充実させる形で整備する予定でおります。環境基本計画は市民参加により策定いたしますので、本日、坂井議員の方からもご紹介いただいた視点ですとか、市民の皆様の様々な声を環境基本計画の生物多様性に係る部分にも反映できるよう研究してまいりたいと考えているところでございます。」
坂井えつ子
「滄浪泉園の40周年イベントの話はちょっと職員の方からもお聞きしていて、カブトムシの幼虫を採取に、大人も実はちょっと楽しかったというか、そんな体験、今なかなかないですからね。というような話もあって、カブトムシの幼虫が暮らせるような環境があり、それを通じて大人も元気になり、子どもたちの教育にもなりというような一つの形かなと思っていますので、具体的にされている取組とかお考えというのは方向性とても良いことだなと思っています。環境基本計画の中でできるということも存じ上げているんですが、ちょっとやはりもったいないなという思いはあります。しかしながら、今回はその方向で行くということで、内容を充実していただきたいなと思っています。市民参加もされるということですが、ぱっと環境基本計画を策定しますというと、やはり環境に関心がある人しか集まりづらいと思うんです。しかしながら、これは今まで申し上げたとおり、生物多様性に関係ない人はいないと思いますので、様々な分野の方、農業者の方とか地域活動をしている人とか、食育されている方とか、いろいろな方の意見が反映できるような市民参加の在り方というものを研究して実施していただきたいということを要望して、質問を終わります。」

2020年第3回定例会 2020/9/8 一般質問(坂井えつ子)

坂井えつ子(緑・つながる小金井/緑の党グリーンズジャパン)
「防災目的を超えての樹木伐採にNO!玉川上水沿いでは、すべての樹木のいのちを尊重しようです。
 本人提出資料の1ページ目に、伐採されてしまった樹木の写真を載せています。私、何でもかんでも刈るなと言っているわけではございませんで、防災目的での維持管理は必要だと考えています。台風被害がありまして、倒木などもあって、そういった被害も過去にございましたので、防災目的の維持管理というのは必要だというような立場に立っています。
 しかしながら、小金井市では違いますよね。それプラスアルファ、桜を植えるために他の樹木を伐採するという行為をしていて、これは生物多様性にも反すると考えています。
 私はこの写真がある際、桜町一丁目に20年近く住んでいるけれども、玉川上水に近いところに住んでいます。20年ぐらいずっと住んでいるんですが、その樹木の並木に癒やされながら暮らしてきました。
 が、しかし、この度の伐採がとても衝撃的だったので、カラー写真で1枚目に写真を載せたところなんですけれども、今回、陣屋橋から小金井橋の間で行われた桜以外の樹木の伐採はやり過ぎです。これ以上桜を植えるために、他の樹木を伐採すべきではないと考えます。
 冒頭申し上げましたが、台風による倒木被害も起きているので、防災の目的、玉川上水の維持管理をしていくことが必要ですけれども、小金井市は他の自治体とは事情が違い、名勝小金井(サクラ)復活プロジェクトがありますよね。玉川上水・小金井桜整備活用実施計画にはこのようなことが書いてありました。昭和30年、つまり1955年まではヤマザクラ並木が保たれていたけれども、昭和40年、1965年、浄水場の廃止に伴って、徐々に小平監視所下流の流域が止まり、玉川上水の機能が停止したことから、景観の変貌をもたらしたとあります。1955年というので、60年ほど前の景観に小金井市は戻していこうという計画ということです。私も、現状、樹木が何もないところに桜を植えていきましょうということだったら、別に、こんなに大きく反対していないんです。声を上げていないんですけれども、今そこにある樹木を伐採してまで植えるということが、なかなか理解ができないんです。この伐採されてしまったケヤキだって、けなげに生きてきたわけですからね。
 質問なんですが、陣屋橋から小金井橋の間で行われた桜以外の樹木の伐採はやり過ぎです。生物多様性にも反すると思うんですけれども、見解をお聞かせいただけますでしょうか。」
生涯学習部長
「陣屋橋から小金井橋までの間の樹木伐採についてです。
 本区間につきましては、その他の樹木が放置された影響で、史跡玉川上水の損壊が深刻化しておりまして、また、高木の被圧によって名勝を構成する桜の成育不良を引き起こし、桜の枯渇が増加しておりました。
 令和元年度におきまして、東京都及び本市が策定しております。史跡名勝の整備活用計画に基づきまして、文化財を保護する目的で陣屋橋から小金井橋までの区間を整備したところです。樹木伐採の作業は東京都によって行われております。樹木の伐採方法につきましては、専門家のご意見に基づきまして、文化財の管理者である東京都と本市で協議を重ねていき、更には生物多様性を考慮しながら総合的に判断して決定されたものです。整備内容につきましては、文化財を保護するために適切な措置であったと考えているところです。」
坂井えつ子
「伐採する前に、地元の地域団体と、この木はどうするかという話合いの場を設けていただきましたことは感謝していますが、結果をあけてみて、実際の樹木を見てみると、やっぱりちょっとざんないなと感覚として思うわけですね。市の答弁としては、適切な措置であったとご答弁されたんですが、桜を植える立場におられるから、そういった評価になると思うんです。私はどちらかというと、断然というか、刈られてしまうケヤキ側に立っていますので、桜を植えるためにと、維持管理上に切っていますよね。そのために伐採されるケヤキ側の立場に立つと、ちょっと、どうしても納得がいかないと思っているところです。
 評価が適切ということについては遺憾でありますが、そういった答弁であったということを、まずは受け止めます。
 それで、次の質問に入るんですけども、これまでに、桜が整備された区間での事業の評価は行っているんでしょうか。名勝小金井(サクラ)のモデル区間整備は、2010年から2012年は新小金井橋から関野橋の間を行っています。その後、2014年から2016年は関野橋から梶野橋、そして、2017年から2019年は、新小金井橋から小金井橋の間を行っています。一番最初のモデル区間の整備からすると、およそ10年経つわけですよね。これは一定の評価すべきタイミングではないでしょうか。今回、小金井橋から陣屋橋区間にお住まいの方に、何人かお話を聞いたんです。桜については、考え方がいろいろございまして、桜並木の復活を望む方も当然いらっしゃるんです。そういう方ともお話をしたんですが、それについても、今回の伐採はやり過ぎという声を聞いています。
 今後、小金井市では、小金井橋から西側も計画しておられますけれども、桜並木を復活するに当たっては、今、生きている樹木を伐採してから植えるという過程も知っていただくことも必要だと思うんですよね。
 よって、小金井橋から茜屋橋区間、桜町二丁目とか貫井北町三丁目近隣の方も対象とした玉川上水沿線プラス今までアンケート調査を行うときは公民館とかでも配布していたと思いますので、沿線プラス、市内の公共施設などを拠点として、アンケート調査を行うべきだと考えていますが、いかがでしょうか。」
生涯学習部長
「アンケートの調査につきましては、この間も5回、こちらは平成23年から28年になります、実施していたしました。
 玉川上水の沿線にお住まいの方々とともに、市民団体の方からも回答いただいております。
 アンケート調査の結果からは、史跡玉川上水及び名勝小金井(サクラ)の保護の必要性をご理解いただいているところです。
 また、毎回の調査では、本整備事業の内容について、全体の7割から8割の方から肯定的な意見が寄せられております。本市及び東京都では、アンケート調査の結果内容や様々なご意見を重く受け止め、今日まで取り組んできたところです。
 本整備事業を開始してから10年が経過しましたが、本整備計画が目的の1つである名勝小金井(サクラ)の再生復活の観点から申し上げますと、アンケート調査の実施は必要と認識しておりますが、調査の実施時期はもう少し先にも設定しております。その理由としては、3点ございます。1点目は、植樹したばかりの桜はまだ若く、いまだ名勝の復活と言える状況ではないということ。2点目は、玉川上水の現風景に近付けるためには、多様性に富んだ草地の再生が欠かせないこと。3点目は、5回行ったアンケート調査の結果を何よりも尊重していることです。
 100年以上前の玉川上水の堤には、桜並木とともに、在来の野草で構成された風景が広がっていたことを鑑みますと、本来の姿に復するまでには時間を要します。また、専門家からも、文化財の整備事業の効果が現れるのは一定の時間的経過が必要であると指摘を受けております。
 市民の方の声を聞くことは大切なことであり、必要に応じて実施するものでありますが、まずは一定程度の事業成果が見えてから行うものと考えておりまして、具体的には、名勝小金井(サクラ)の小金井市域の区間における補植作業が終わってから一定の期間が経過してからと考え、小金井市の全区域の補植が終了してからおおよそ10年が経過してからの実施が望ましいと考えているところです。」
坂井えつ子
「全部の補植が終わってから、それからおよそ10年後ということで、大分先になりますね。こういった過程、こういった過程というのは伐採ですけれども、伐採という過程も踏まえながらやっているということの評価がどこにも現れないのかなと思います。一番最後にアンケート行ったのは、平成28年とおっしゃったので2016年なんですが、これが最後ですよね。このアンケートについては、市議会でも、アンケート項目とか、まとめ方がちょっと恣意的ではないかというような意見も出ていたので、それを尊重すると言われると若干、複雑な思いがありますので、アンケート調査を行うに当たっては、また、アンケート項目の見直しもやっていただきたいと思います。そのときが来て、機会があれば、そのことを申し上げていきたいと思います。これについては、まず、分かりました。
 それで、この評価という意味では、東京都が桜の健康調査を行っていましたよね。これは、玉川上水沿いの樹木にも健康調査を行いますというようなご案内が張られていたんですけれども、東京都が今年の2月から3月にかけて行った桜の健康調査、この結果は把握されているんでしょうか。それを踏まえた東京都の対応は十分なのか、お聞かせいただければと思います。」
生涯学習部長
「東京都が調査を行ったことは把握しております。名勝を構成する全ての桜を対象に、樹木医によって木の健康状態が調べられました。調査内容につきましては、東京都建設局の街路樹診断マニュアルに沿って5段階で評定されております。健康状態が良好なものがA判定で、最も悪いEは枯渇判定となります。
 文化財保護法では、生きている桜は現状保存が大前提となります。そのため、健康状態が芳しくない桜に関しましては、伐採せずに現状を維持する保護措置を講ずることとなります。東京都の対応につきましては、枯れている部分の枝落としであったり、成長の妨げになる支柱の撤去や肥料の散布などを実施する考えであるとのことです。Eの枯死判定になった桜は順次伐採していくこととしております。
 本市といたしましても、引き続き現地の見守りを行い、適宜、東京都と情報共有を行いながら、桜並木の保護の体制強化を図ってまいりたいと考えています。」
坂井えつ子
「今、ご答弁があった東京都の桜の健康調査の結果というのを、東京都の教育庁に行ってちょっと出していただいたのが、本人提出資料の2枚目なんですけれども、東京都が出していただいた資料は、下の図ですね、玉川上水沿いに、桜がここにあって、桜の健康状態によって、Aが良好、Bが概ね良好、Cが明らかに異常、Dが劣悪、Eが枯死というような感じで、一目で分かるようになっています。これを数に数えてみたのが、私の上の資料です。橋を基準に、西は茜屋橋から東は梶野橋まで、このAからEまで桜がどのような状況にあるのかというのを、この東京都が出してくださった資料を基に数えてみたのが上の図です。北側と南側で数を出してみたんですけれども、どちらかというと、南側の桜の状態の方が悪いということが見えてきました。良好の桜は、例えば北側ですと115本、35.6%あるんですが、南側の良好は23本、割合で9%、おおむね良好の割合は、北側だと31.9%、南側49.4%、ここはあまり変わりないですね。結構数字が分かるなと思うのが劣悪で、北側だと劣悪が11本、3.4%、南側の劣悪が12本で4.7%。枯死してしまったものは、北側は1本なんですが、南側は7本枯死しているということが分かっていて、これは私、素人なので、詳しい要因は分析できないんですけども、この東京都が出した資料を見ると、北側よりも南側の桜の状態がよろしくないんだということが見て取れます。日照とか関係しているんでしょうか、これを見ると、少なくとも南側には、ちょっともう植えるべきではないと思うんです。植えられた桜もかわいそうですよね。少なくとも南側には植えるべきではないと考えています。
 次の質問に入っていくんですけども、この名勝小金井(サクラ)のリーフレットを見ていますと、小金井橋から西側は、平成で言うところの32年度以降、つまりは2020年度以降に整備していく予定、整備予定と書いてあるんですが、今後の予定はどのようになっているんでしょうか。」
生涯学習部長
「平成32年度、つまり令和2年度以降の整備としましては、小金井橋から西側の区間を整備する予定地として検討していることは確かでございます。小金井市域の中でも、小金井橋より西側は、史跡玉川上水並びに名勝小金井(サクラ)の保護の観点から、現状を鑑みると整備が至急必要であるからです。名勝としての景観が既に危ぶまれている中で、早急に環境改善の手を打たないと枯死につながり、より深刻な状況に陥ってしまいます。
 今後の予定は、東京都との協議が前提となりますが、小金井橋西側の区間とともに整備が一定完了している区間等を勘案しながら、文化財の現状に適した整備内容を検討し、玉川上水・小金井桜整備活用推進委員会において審議した上で、方針を決めていきたいと考えております。」
坂井えつ子
「それで、今までの区間と違うところで言うと、その小金井橋、小金井街道から西側というのは、南側は小金井市なんですけれども、玉川上水の北側は小平市になりますよね。これ、小平市の意向というのは確認しているんでしょうか。」
生涯学習部長
「史跡玉川上水及び名勝小金井桜(サクラ)は管理者である東京都をはじめ、沿線自治体の4市が関わっております。これまでは、沿線自治体の中では小金井市が先行して、平成22年度から整備を推進してまいりました。その後は、武蔵野市も事業に参加し、足並みを揃えてきた経過がございます。
 玉川上水の流域では、小金井橋より西側の一部は、南側が小金井市、北側が小平市域となっております。2市に関わる区間のため、管理者である東京都の音頭の下、平成30年度から本格的に、東京都と小平市、本市の3者による協議を進めてまいりました。当然ながら、協議の場におきましては、管理者の方針や地元市のそれぞれの考え方がございますが、文化財を保護するという方向性は一致しているところです。3者間では、小平市の意向及び本市の意向を確認し合いながら、整備について検討をしているところです。」
坂井えつ子
「意向を伺いながら、小金井市の意向も確認し合いながら、整備について検討ということでした。これは、事実としての共有という意味で、本人提出資料に出したんですが、今年の6月26日に、小平市長が東京都の知事に宛てた文書を提出していました。これは、タイトルが国名勝「小金井(サクラ)」補植事業について。短いので読み上げますけれども、都知事におかれましては、日頃から小平市へ格別のご配慮をいただき感謝申し上げます。さて、現在玉川上水沿いで進められておられます、国名勝「小金井(サクラ)」補植事業の実施手法について、生物多様性の観点などから小平市民及び自然保護団体等より多数の意見が市へ寄せられております。つきましては、小平市域での補植事業の実施に際しては、下記のとおりご高配賜りますようお願い申し上げます。記1、サクラの補植作業は、生物多様性を持った適切な生態系が維持されるよう配慮してください。2、サクラの補植事業を実施するにあたっては、その時期、方法などについて、地域の住民や自然保護団体と事前に意見を聞く場を設けるなど、丁寧な対応に努めてくださいということでした。これは事実として共有しておきます。
 ということで、小金井市の意向はどうなんですか。小平市の意向は他の自治体のお話ですので、協議をしていくことにはなると思うんですが、小金井市の意向はどうなっているんでしょうか。南側だけ推進するというようなことはしないと明言していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。」
生涯学習部長
「市といたしましては、東京都及び小平市との協議を続けながら、文化財を守る手だてを検討していくこととなります。その中で、南側の小金井市域の部分について、現状、文化財の実態は非常に深刻なものであることは事実としてございます。既存の桜の枯死が進み、また、玉川上水の崩壊が加速するなど、予断を許さない状況と判断された場合には、手を施さなければならない、そのように考えております。
 また、近年の自然災害による被害も見過ごせません。倒木など、市民の命、財産を守るために、防災の観点でも整備を進めていく目的があると考えます。一方で、文化財としての事業効果として、南側だけを進めていくことは果たして有効なのかを、慎重に判断しなければならないと考えています。
 史跡玉川上水・名勝小金井(サクラ)も、国に指定された文化財であり、本市としても、重要な文化財ということで、後世に残していかなければならないものと考えます。今後の事業の進め方につきましては、先ほども答弁申し上げたとおり、玉川上水・小金井桜整備活用推進委員会において審議をいただきながら決めていきたいと考えております。」
坂井えつ子
「防災目的での維持管理はしっかりやっていただきたいですが、桜を植えるための伐採というのはやらないでいただきたいと思います。
 南側だけやるようなことについてというのも、慎重に判断しなければいけないというようなご答弁だったのかなと。景観的に、玉川上水の片側だけ桜並木で、片側は多様な樹木があるというのも、あまりよろしくないんじゃないかと思うので、慎重に判断という答弁が限界なんでしょうか。」

2019年第4回定例会 2019/11/11 一般質問(片山かおる)

片山かおる(市民といっしょにカエル会/無所属)
「市民農園、体験農園を増やす施策や方針についてお伺いしたいと思います。これは、先ほど篠原議員がいろいろ、宅地を利用してというようなことではあったんですが、そういった考え方も非常に重要かなと思いますが、私の方では、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行に伴って、市内の農家への周知、法の活用などについてどのような取組が行われているのかをお伺いしたいと思います。
 小金井市農業振興計画に記載されているアンケート結果では、農地の保全の必要性の設問では、必要という回答は回答者の7割となっているかと思います。この計画自体は、2011年に策定したもので、その後どのような形で見直しをしていくのかということについても、少しだけ確認できればと思います。」
市民部長
「市民農園、体験農園をもっと増やせないかという観点でのご質問でございます。
 市民農園の区画数の現状でございますが、市が開設している市民農園は、平成26年度末の5か所、311区画を最大に、平成27年度以降、4園の閉園、また逆に、3園の開園を経まして、現在では4か所、164区画、高齢者農園が2か所、95区画となっているところでございます。その他には、農業者が開設する体験型市民農園が2か所、90区画、民間が開設している市民農園が2か所、約130区画となっております。
 増設に向けた、農業振興計画における考え方等についてでございますけれども、ご紹介がありましたとおり、平成23年3月に策定いたしました小金井市農業振興計画におきまして、市民農園や体験型市民農園の設置数として、16か所の目標を掲げておりますが、現時点では、目標に達していない状況となってございます。引き続き、市として計画的な市民農園の設置を目指すとともに、都市農地の貸借の円滑化に関する法律が施行され、農業者が安心して農地を貸せるようになったことを踏まえまして、民間活力などを取り入れた市民農園の設置についても推進していきたいと考えているところでございます。」
片山かおる
「この法の周知について、どのように農家の方にお知らせしているのかを、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
 西東京市などでは、こういった大きいパンフレットというか、そういったものがホームページに載っていたりするなと思っているんですけれども、あまり小金井市のホームページなどで見れるところがなかったかなと思いますので、どのような形でお知らせしているかだけお伺いしておきたいと思います。」
農業委員会事務局長
「法律の、農家への周知ということでございますが、毎年、1月に市内の農家、10支部あるんですけれども、座談会というのを開催しておりまして、そういったところを通じて、法改正、新たな制度等の周知を行っているというのが現状でございます。」
片山かおる
「そういった周知の中で、どのような反応があるかお伺いしたいと思います。」
農業委員会事務局長
「ご質問の、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の関係につきましては、先ほど、篠原議員のご質問の内容にもありましたし、先ほど、部長の答弁にもありましたように、民間の市民農園、2園とある中の1園が、この都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行以降開園した農園ということになってございます。
 また、現在調整中の案件なんかも、相談が来ているものもいくつかありますので、何か法律が変わったから急にその数が増えてくるということはなかなか難しいかもしれませんけれども、徐々に浸透してきているかなというのが印象でございます。」
片山かおる
「分かりました。現在の状況について、民間の農園が中心になりながら広がっていくのかもしれないなというところでしょうか。
 農地をどう活用していくかということについては、かなりこれから真剣に取り組んでいった方がいいのかなと私は考えております。三つ目の質問として、市民農園や体験農園の使用料減免と、子ども食堂などへの収穫物の寄附を連動しないかというような提案なんですが、これは、先ほどの韓国の事例などにものっとってということなんですが、やはり、これらの農園の中でたくさんできた収穫物をどう扱っていくのかということについても、今、家族で、世帯単位という形での申込みかもしれませんけれども、やはり、社会化をどのようにしていくかということについてを検討していくべきではないかと考えております。寄附先を指定して直接届けていただくとか、または社会福祉協議会などと連絡、連携して必要な方にお届けするなど、こういった、少しだけ工夫をすれば、今の制度の中でも何かしらできることはあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。」
市民部長
「市や農業者が開設する市民農園とか、体験型市民農園を、先ほどの中では、子ども食堂ですとかの取組に連動させていくというような方策が、現時点で工夫できないのかというお話でございます。
 先ほどご報告があった韓国では、いわゆる有機農業みたいなものと連動させながら制度設計をしているというところの中では、小金井市における市民農園、あるいは体験型市民農園、こういったものにつきましては、制度設計上、そういった取組の中で考えてきたものではないところもございますので、現時点では、法令上及び制度設計上困難であると考えてございます。
 ただ、議員のご提案を含めた、農福連携、更には農商公福連携という取組というものにつきましては、これは、都市農業の振興を図る上で重要なキーワードであると考えているところでございまして、今後、農業の担い手の確保の視点のみならず、地域コミュニティの造成ですとか独自産業化といった視点も含めまして、具体的な政策につきまして、他市の事例ですとか海外などの事例もあると今、お聞きしてございますので、そういったものについて研究してまいりたいと思います。」

2021年基本構想審査特別委員会 2021/8/3(森戸ようこ)

森戸ようこ(日本共産党小金井市議団/日本共産党)
「みどりの面積は、平成21年から令和元年までで40.53ヘクタール減っているわけですよね。樹木、草地、農地で。市長が就任された後期基本計画の中では、公共緑地としてみどりの保全に努めるという、公共緑地として位置付ける土地をつくるんだよと言われていたんだけど、そういうことも積極的に行われなかったのかなと思っております。その点からしても、「みどりの保全・創出につながる取組を進めるほか」と書いてあるんだけど、非常に私たちとしては実感が湧かない。何をやったのよと。こういったら、努力をされている担当者には失礼かもしれないけれども、実際には数値的には減っているわけですから、このことが未達成であるということも明確にしておく必要があるのではないかと思います。」
環境政策課長

「みどりの減少についてでございますが、先ほどもちょっと答弁さしあげたところですが、ほとんどは生産緑地の減少というところではございますが、一方で公共緑地の確保という部分も確かにございます。そういった部分に関しましては、実際は公共緑地については、小長久保公園の確保ですとか、三楽公園の確保ですとか、公共緑地については若干は増はしているものの、生産緑地の減少があまりにも大きいというところで、全体として減少というのは事実でございます。ただ、公共緑地だけではなくて、今後は民間の緑地も増やしていくという考え方の中で、生産緑地をなるたけ確保できるような仕組みですとか、開発に伴う中高層での緑地の増とか、そういった部分で今後は増やしていきたいという考えがございます。」

2021年第3回定例会 2021/9/7 一般質問(安田けいこ)

安田けいこ(小金井・生活者ネットワーク/小金井・生活者ネットワーク)
「緑の消失を防ぐ方策を、緑地保全のことについてお伺いいたします。高度成長期に急激に都市化が進んで現在に至るまで、農地や樹林などの緑が減少し続けています。小金井市でも、この10年間で小金井公園の約半分の面積に当たる40ヘクタールの緑が失われたとみどりの基本計画に記されています。環境問題が深刻化する中、緑には二酸化炭素の吸収に大きく寄与することに加え、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の保全、農産物の生産、郷土の景観を形作る骨格としての役割、雨水の浸透機能等、多くの機能が見直されています。近年の研究によると、うつ、不安レベルや孤独感を減らすなど、メンタルヘルスだけでなく、糖尿病や心筋梗塞のリスクも軽減されることが分かってきています。これまで趣味的なものと捉えがちだった緑が、機能的であるという認識に今、変わるときではないでしょうか。
 多面的な機能を持つ緑について、緑地保全の観点から質問します。まず、市内の緑に占める農地の面積は令和2年の集計で約64.9ヘクタール、そのうち生産緑地に指定されているのは58.1ヘクタールです。2022年に生産緑地の指定が切れることで、農地が減少することが見込まれています。これについて市の対策を教えてください。」
環境部長
「れでは、まず生産緑地の減少についてでございます。市内の生産緑地は、指定開始直後である平成5年の約86ヘクタールをピークに相続等により年々減少しており、令和2年度末で約58ヘクタールとなっております。この58ヘクタールのうち、約53ヘクタールが2022年から2024年の間に30年間の期日を迎え、買取り申出や農地以外への転用が可能となります。市内の全ての緑のおよそ20%を占める生産緑地を含む農地は、本市の緑の保全にとって極めて重要である一方で、あくまで農家の生産の場であり、個人資産であることから、農家の皆様にいかに生産緑地として維持し続けていただくかが鍵となると我々は考えております。このため、市では生産緑地指定の面積要件を緩和し、追加指定を推進したり、貸借制度等の周知に努めたり、特定生産緑地制度について早くから情報発信してまいりました。その結果、13件、約4,500平米の農地を新たに生産緑地に追加指定するとともに、解除対象生産緑地の約94%について、既に特定生産緑地への移行申請を受けているところでございます。」
安田けいこ
「様々な施策をやっていただいて減少を最小限に抑えているということだと思います。解除対象生産緑地の約94%について既に特定生産緑地への移行申請を受けているということなので、この数字がかなり高いということに本当に安堵いたしました。ありがとうございます。しかし、全体的に農地が減ることは避けられない状態となっています。身近な緑、都市農地は、農産物の生産だけでなく、住民にとって身近に自然を感じられ、日常に心の豊かさをもたらすという意味でも、とても大切なものだと思っています。
 次に、緑地の減少という観点から、開発事業についてお伺いします。今日、資料を皆さんにお配りしましたが、国分寺崖線に係る生産緑地約1ヘクタール弱が大規模宅地開発される予定で、8月21日に住民説明会が開かれました。この土地利用の変化について行政はどのように関与しているのでしょうか。前原三丁目宅地開発計画に至る経緯を教えてください。」
環境部長
「まず初めに、生産緑地の売却とその後の開発につきましては、先ほどの答弁でも話をいたしましたが、農地というのは個人資産に関すると考えておりますので、売却にはそれぞれの事情もございますので、個別具体的な事項について我々としてはこの場での答弁は差し控えさせていただきます。したがいまして、一般的な生産緑地の行為制限解除の流れを申し上げます。生産緑地は、その所有者が亡くなられる等、農業に従事することができなくなる事由が発生した場合に限り、指定から30年を経過する前に買取申出を行うことができます。生産緑地は買取り第一優先権が行政にあることから、市に買取申出が提出されると、市は生産緑地を購入するか否かについて協議をします。また同時に東京都へも購入希望の照会をかけ、市も東京都も購入希望がなければ、次に農業委員会を通じて農家へ買取希望の照会をかけます。行政による検討はおおむね1か月、農家への照会期間、約2か月を経て、買取希望がなければ、生産緑地としての行為制限が解除されます。所有者は農地転用や第三者へ売却が可能となります。その後、売却された土地において、まちづくり条例に規定される指定開発事業が行われる場合は、規定に基づき宅地開発等審査会の審査を経て開発が行われるものでございます。以上のように一般的にはそういうような形になります。」
生涯学習部長
「それでは、文化財保護の観点からお答えいたします。ここでは一般的な手続きの内容です。文化財保護法では、私有地の埋蔵文化財包蔵地、こちら遺跡ですけれども、そちらの中で住居建設や開発等を行う際には、工事着工の60日前までに埋蔵文化財発掘の届出を地元自治体を通して東京都に提出しなければならないとされています。こちらは文化財保護法の第93条、第94条ということになります。遺跡内での住居建設や開発におきましては、遺跡の広がりによっては発掘調査の可能性があることを周知した上で、建設や開発行為の規模によって遺跡に影響が出る可能性がある場合には、試掘調査などによって事前に遺跡の有無等を確認することとなります。調査で遺跡がもし発見され、かつ工事内容が遺跡に影響する場合は、事業主と地元自治体とで協議をいたします。遺跡につきましては、現状保存が文化財全般の理念としてはございますが、それができない場合につきましては、その後、記録保存を目的とした発掘調査をしていただくことになります。」
安田けいこ
「まず土地の売却についてなんですけれども、個人のご事情であり、この場でどうこう言うべきではないと認識しています。しかし今回の開発ですが、国分寺崖線に係るまとまった緑地であり、遺跡にも指定されている地域です。なので公共性が非常に高いと思いまして、市民の関心も高いことから質問しています。私も8月22日の住民説明会に参加いたしました。近隣住民の方から様々な意見が出ておりましたが、その後、市役所に届いたものも含め、意見は合計何件、内容はどんなものでしょうか。また、事業者には住民の意見をどう伝えているのか教えてください。」
都市整備部長
「説明会のご質問についてでございます。先ほどの答弁の中にございましたけれども、特定の事業者及び特定の個人の資産に関わる開発事業についての言及は差し控えさせていただきたいと存じます。ご理解をいただきますようお願い申し上げ上げます。(略)」
安田けいこ
「土地利用計画図、皆様にもお配りしましたけれども、斜面を含め隙間なく住宅が並んで、緑化できるのはほぼ提供公園だけになるのではないかという気がいたします。国分寺崖線という地形や景観に配慮した緑豊かな開発になるように業者と協議することはできないのでしょうか。
 住民の方から許可を頂いて、今日は小学生の意見、こちらは市の方に出したと言っている要望書を資料として付けさせていただきました。毎日通っていて緑がなくなるのはとても悲しいという率直な意見です。色々な意見があるかと思いますけれども、再度の説明会は難しいのでしょうか。それについてご見解をお願いいたします。」
環境部長
「話として出ましたけれども、指定開発事業に係る環境への配慮につきましても、一般的なご答弁はさせていただきます。小金井市環境配慮基準、環境配慮指針を定めて事業者に協力を求めております。事業者は法令遵守を基本とし、市の関係各課と事前協議を行い、様々な制約がある中で、提供公園等、新たな公共施設の設置についても最大限ご協力をいただいていると認識しております。」
都市整備部長
「再度の説明会の開催についてでございます。こちらにつきましても、特定の事業に関する言及は控えさせていただきますが、一般的に開発事業を行われる事業者には、まちづくり条例の趣旨に鑑み、市民に対し誠意を持ってご対応いただけるようお願いをしてまいってございます。」
安田けいこ
「有地の利用について、行政として法に定められていないことについてまで介入するということは大変難しいということは理解できます。しかし、国分寺崖線という立地でこれだけまとまった土地の利用について、開発業者が実質的にまちづくりを主導することには、民有地だからという説明だけでは腑に落ちない気持ちになってしまいます。なぜもやもやするのか。これは、市の様々な計画で緑を保全することや国分寺崖線の価値について言及されているのに、その大切なはずの緑地が次々と開発されることへの疑問からです。東京都が策定した緑確保の総合的な方針によると、崖線の緑は保全を推進すると位置付けられています。この中に、令和11年度までに確保が望ましい緑として、各自治体が抽出していますが、小金井市は1か所、平地林として三楽公園北側の0.07ヘクタールが指定されているのみで、国分寺崖線は含まれていません。一方、国分寺崖線保全条例を持つ世田谷区では、崖線の10か所を新たな保全緑地として抽出しています。なぜ小金井市では僅か1か所、0.07ヘクタールだけの計画なのでしょうか、教えてください。」
環境部長

「まず、世田谷区の方針の詳細は我々としては存じ上げませんが、緑確保の総合的な方針において各自治体が優先的に確保する緑地として指定する土地は、基本的に都市計画公園等に位置付けられた民地であり、所有者の意向を無視して指定することは難しいと考えております。本市が指定した700平米は以前より公共緑地に申請をいただいている民地で、所有者の意向により緑地として市に保存をお願いしたいと買取申出をいただいていた緑地です。当該緑地は、議員にご紹介もいただきましたが、三楽の森公共緑地、三楽公園と一体の緑地で、国分寺崖線につながる貴重な緑地であるため、緑確保の総合的な方針において優先的に確保する緑地に指定し、都市計画公園として位置付けた上で、国や都の補助金を獲得して計画的に今年度収得したものでございます。
 なお、本市では、公園等整備基本方針及びみどりの基本計画において、緑地を含む公園等について、量の拡充から質の向上へ転換することを基本方針として定めており、国分寺崖線上に限らず、民間の緑地を積極的に購入し保全していくという考えは原則持っておりません。」

安田けいこ

「市として新たに緑地確保の計画を持っていない、量の拡充から質の向上へ転換するということです。今、気候変動の時代でもありますし、緑地の確保というのは市民の思いでもあるのではないでしょうか。国分寺崖線はみどりの基本計画に、国分寺崖線斜面及び周辺部の緑の保全を進めますと明記されていますが、その現状と計画はどうなっているのか、とても気がかりです。はけの保全とうたっていても、このままでは近い将来、一部を除き、崖線がただの住宅が並ぶ斜面になってしまうことを危惧します。都市計画マスタープランには、国分寺崖線の坂道は地域固有の魅力的な景観要素になるように、歩行者系道路として演出した整備を進めますとあります。先ほど質問した大規模開発では、昔は墓地があり、農民が念仏を唱えながら通行したことからつけられた念仏坂という風情ある坂道がありました。現在もあります。しかし、宅地開発により地域固有の景観要素のほとんどが既に失われ、大規模開発で更に景観要素はなくなることは必須です。念仏坂という名前だけが当時をしのばせる唯一の要素として残ることになるのは避けられない状態です。ここに限らず、恒久的に保全されるはずの都立公園の中の崖線にさえ都市計画道路予定地があり、全く安心できない状態だと思っています。緑が大事と口で言うだけでは何の意味もない。緑をいかしたまちづくりを期待している市民の声にはどう応えるんでしょうか。今後、人口減少が確実で空き家も増える中、これまでどおり利益追求の開発を許していては、緑豊かなまちは維持できないのではないでしょうか。これについてご見解をお伺いします。」
西岡真一郎市長

「安田けいこ議員の一般質問にご答弁いたします。国分寺崖線の保全や緑の在り方等についての見解を問われてございます。国分寺崖線の保全は小金井市にとっても大変重要な施策であり、これまでも努力してまいりました。現在、国分寺崖線上には、行政が所有または管理している緑地が約3ヘクタールほどありまして、これらの緑地には、小金井市が東京都に働き掛け、東京都に購入してもらった緑地も多くあります。担当からも答弁がございましたが、小金井市では公園等の質の向上を目指しており、滄浪泉園や三楽の森公共緑地等、また、はけの森美術館もございます。すばらしい緑地の更なる質の向上を、限られた予算の中で創意工夫を凝らし、精いっぱい努力はしております。民有地の緑が失われつつあること、また農地も含めまして、私自身も胸を痛めておりますが、個人の資産でもあります。また、相続税という国策という施策もあります。市といたしましては、個人に所有し続けていただけるような支援を行いつつ、まずは今ある公共の緑地を適切に守っていきたいと考えているところであります。
 また、先ほどご答弁させていただきましたが、一方で農地法の改正等もありまして、都市農地の推進基本方針というものも定められてまいりました。小金井市では、既に生産緑地の面積要件の緩和、追加指定、貸借制度などの周知に努め、特定生産緑地制度について早くから情報発信してまいりました。その結果、約13件、約4,500平米の農地を新たに生産緑地に追加指定することができました。また、解除対象生産緑地の94%について既に特定生産緑地への移行申請を受けているところであります。現在、農業関係者の方々のご努力もいただきながら、期限内申請に向けまして今、最終的ないろいろな作業を行っていただいているところでありまして、国分寺崖線のみならず、小金井市としても農業関係者の方々と協力をしながら、農地の保全にもいろいろ尽くしてまいりたいと思っております。」
安田けいこ

「市長も民有地の緑が失われつつあることに胸を痛めておられるということです。私も本当に同じ思いで失われゆく緑を眺めております。小金井市緑地保全条例及び緑化推進条例施行規則第2条には、環境保全緑地の指定基準が掲載されています。環境緑地は現状のまま保全することが確約される土地、公共緑地は公共の用に供されることが確約される土地と定義され、いずれも500平方メートル以上の面的なつながりがあることと規定されています。注目するのは第2条の2です。前項の規定に関わらず、市長が特に必要と認めたものについては、前号各号に定める規定基準によらず保全緑地として指定することができると記されています。私はこの文を見て、こんなものがあるんだと本当に驚きました。市長には大きな権限があるということが分かりました。市長が必要だと認めれば保全緑地に指定できるということです。胸を痛めているのでしたら、ぜひ保全緑地に指定ということも考えていただければと思います。小金井市が緑豊かな住みやすいまちになるように、ぜひ市長のご尽力をお願いして、この緑地保全についての質問は終わります。」

2022年第1回定例会 2022/3/2 一般質問(森戸ようこ)

森戸ようこ(日本共産党小金井市議団/日本共産党)
「国分寺崖線の緑を守るためにということで質問をさせていただきます。
 前原三丁目の大規模開発について、周辺住民から、陳情書という形で問題提起が行われ、国分寺崖線の緑と周辺住環境を守ることの声が、この市政にも届けられました。今回の大規模開発に当たっては、事業者は法令に則って進められており、問題がないということは理解するところであります。ただ、こうした大規模開発、指定開発に当たって、市の公共施設を設置するということは、市と事業者との話合いで行われてきたものであります。設計ができた後に、事業者との調整は終わっているとして、周辺住民に何ら情報が伝わらず、いきなりそういう説明をされるということは困惑するというのは当然ではないでしょうか。まちづくりに市民が参加しようといっても、参加にはなっていないという実情が、今回の問題でも明らかになりました。
 そして、今回のこの事案で、改めて、現状のまちづくり条例に問題はないのかということを、私はよく検証していく必要があると思っています。改定も含めた検討について、今日は問題提起をさせていただきたいと思います。
 まず、大規模開発の件であります。端的に伺いますが、擁壁3メートルの高さについては都市計画法での規定があり、市は十分に協議するということが規定されています。市として、なぜ3メートルの擁壁を認められたのか伺いたいというのが1点であります。
 2点目は、小金井市の環境配慮指針であります。規定では、開発区域に接する既存道路で幅員6メートル未満の場合は、原則として道路中心から3メートル以上後退するとしています。今回の南側の方は、中心から2メートルということで、市は同意をされています。これは、市はいろいろ理由があるとは思いますが、周辺の宅地状況から、3メートルのセットバックを求めるべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。また、東京都の景観条例に基づく景観形成基準を遵守することが求められています。擁壁を低くすることと併せ、擁壁にするのであれば、開発区域の外側を緑化することなどを求めていくことが必要ではないかと思いますが、その点での見解を伺いたいと思います。」
都市整備部長
「初めに、市としての対応でございます。
 開発区域に含まれていない周辺公道の隣接際を切り盛りして擁壁または斜面をつくる場合は、その公道の管理者等と十分協議をして設計することと、東京都の開発許可関係実務マニュアルに記載されてございます。当該開発では、開発区域南側の市道第213号線に隣接して擁壁を築造する計画となっていることから、その公道の管理者として協議をさせていただいておりました。その具体的な協議内容でございますけれども、擁壁の構造が東京都の基準に合致したものかどうか、また、官民境界を侵していないかどうか等について確認をしているものでございます。
 また、セットバックについてでございますが、日頃より、開発指導における道路のセットバックにつきましては、開発業者が計画している内容をヒアリングし、セットバックの必要性等を協議してございます。当該開発の計画では、開発区域側の宅地が南側の市道第213号線に接道を取らない計画であり、また、現状でも通り抜けがほとんどなく、今回の開発の影響で新たな交通が発生しない道路でございます。そのような理由から、開発業者の計画においては、中心から3メートルまではセットバックしない計画となっており、本市としても、3メートルのセットバックの必要性はないものと判断をしてございます。
 続きまして、東京都景観条例についてでございます。国分寺崖線上の開発に係る擁壁及び外構の緑化等についてご答弁をさせていただきます。東京都は、景観法に基づく景観行政団体として、良好な景観の形成を目的とする東京都景観計画を策定しております。この計画では、東京の景観形成において特に重要と考えられる11の地域が景観基本軸に指定されており、このうち1つが国分寺崖線を含む国分寺崖線景観基本地区でございます。国分寺崖線景観基本地区内で建築物の建築等を行う者は、景観法及び東京都景観条例に基づき、あらかじめ都知事に届出を行うこととされており、届出の内容につきましては、東京都において定める景観形成基準について、適合の確認が行われるものでございます。
 東京都景観計画の基本的な考え方や景観基本地区の位置付けなどにつきましては、市におきましても把握をしており、その趣旨は尊重されるべきものと捉えておりますが、ご質問のような景観法及び東京都景観条例に基づく個別具体の届出の受理や適合の確認及び勧告等の手続につきましては、東京都の所管事項でありまして、市では、お答えする立場ではないことから、ご理解を賜れればと思ってございます。」

森戸ようこ(日本共産党小金井市議団/日本共産党)

「今、答弁いただきましたが、ちょっと、私はよく納得ができないですね。市と十分に協議することと言われているわけですよね。宅地開発の規制区域であるということから見ても、本当に、擁壁3メートルで大丈夫なのかということは検討する必要がありますし、セットバックも開発区域に接してないとおっしゃったんですかね。区域としては、市道第213号線は、ぐるりとかかっている沿線道路の一つなわけで、幅員6メートル未満の場合は、原則として道路中心から3メートル以上後退するということに当たると思います。
 緑化についてはどうなのかというお答えはなかったので、ぜひ今後、このぐるりについて、擁壁を下げるということが私は必要だと思いますが、少なくともそういう緑化を行うようにしていく必要があるんじゃないかと。東京都の景観条例は、景観形成基準の中で次のように言っています。土地利用として、事業地内外の緑が崖線周辺市街地の緑、公園や散策路と一体となる緑のネットワークが形成できる計画とすると述べているんです。また、崖線の造成については、崖線の大幅な改変を避け、長大な擁壁やのり面などが出現しないようにする。擁壁やのり面では、壁面緑化などを行い、圧迫感の軽減を図ると、このように、東京都の条例の中では述べているわけです。したがって、これは東京都の所管だからということにしないで、小金井市としても、ぜひ、十分に注意を払っていただきたいと思います。
 まちづくり条例は、第7条で、市は事業者に対し、住みよいまちづくりを推進するために、必要な指導または助言を行うものとすると述べているわけで、その点からすれば、及び腰になっているとしか私には受け止められず、本当に、国分寺崖線などを守る意思があるのかなと思わざるを得ません。ぜひ、このまちづくり条例の第7条の立場で、引き続き事業者、また、周辺住民との話合いについては見守り、必要であれば指導や助言を行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 他市の事例はどうなのかということであります。お隣の国分寺市は、国分寺崖線の保全について、まちづくり条例に規定をしています。小金井市はこの規定の条例がありません。第9条で、国分寺崖線の保全を位置付けているんです。今日お配りした資料の中にも、7ページに書いてありますが、国分寺崖線についてはこのように規定しているんだということが分かりました。したがって、宅地開発の指導要綱の中で、国分寺市は、崖線の区域については、公園提供については、6%にプラス2%してくださいよということを事業所に求めているんです。私は、国分寺市は本気で崖線を守ろうとしているなと思いました。併せて、ちょっと申し上げると、国分寺市は、調整会というのを持っています。調整する会議ですね。近隣住民が異議があるときには、近隣住民の過半数の署名をもって市に届けると、まちづくり市民会議の識見委員から調整会員というのを選出をして、事業者代表と近隣住民代表、小金井市が事務局になって話合いを行うということを行っています。
 私は、小金井市は建築確認申請の手続をしない市ではありますけれども、こうした近隣住民との調整なども含めて求められているなというのを感じました。これは、通告にはないんですけれども、全体としてそういうことです。今の調整会の話は通告には入れてないけれども、さらに突っ込んで調べるとそのようになっているということであります。
 それから、三鷹市は、開発を行ったときに、環境配慮計画書を求めて、環境配慮審査会を設置して、計画について審査し、指導や助言をすることができると規定しています。小金井市としても、この国分寺崖線を守る、それから自然環境を守るという立場から見て、こうした規定を盛り込むことが必要ではないかと考えますが、見解を伺います。」
環境部長
「それでは、国分寺崖線を守るための規定の改正というような形のご質問だったと思います。
 現在、指定開発事業に係る公園の負担割合につきましては、宅地開発等指導要綱におきまして、3,000平米以上の宅地開発では、6%以上の公園設置をお願いしているところでございます。
 議員ご紹介いただきましたとおり、国分寺市の事例のように、国分寺崖線区域の指定開発事業について、特別な規定を盛り込むことは、緑を保全するという観点に特化すれば有効な手段であると考えられるところではございます。
 しかし、規制をより強くするということに関しては、やはり、慎重な判断を要すると思っておりますので、今後、都市整備部とも情報共有を図りながら研究させていただければと考えております。」
森戸ようこ
「規制を強くすることがどうなのかということですが、国分寺市ではそういうことをやっていらっしゃるわけですから、小金井市の緑を守るという、自然を守るというこの姿勢が問われると思います。ぜひお願いしたいと思います。
 私は、やっぱり市長に伺いたいのは、本当に国分寺崖線の緑、はけを守るつもりがあるのかということであります。この間、小金井市は、国分寺崖線を守るために、東京都と様々な連携をしてきました。滄浪泉園も、マンション建設が沸き起こったときに、当時、永利市政が、滄浪泉園を東京都に買ってもらって残したわけですね。これ以外にも、はけの森緑地、美術の森緑地、どんぐりの森公共緑地、こうした国分寺崖線を、東京都と連携して残すという努力をされてきたわけです。今回の土地について、この間の答弁を聞いていても、市は保全するための努力が見られない。せめて、今からでもいいので、国分寺崖線だけでも買い取るということを考えられないのか。私は、まちづくり推進課、環境政策課が連携して行うべきだと思いますが、市長の見解はいかがでしょうか。」
環境部長

「当該開発地は、国分寺崖線に位置し、ほぼ全てが生産緑地でありましたことから、指定の解除に当たり、買い取りの第1優先権は、生産緑地法上、行政にございました。市に買取申出書が提出されてから、1か月間は、市や東京都により買取検討期間、その後2か月間は、農業委員会を通じた農家へ買取希望照会期間を経た後、買取希望なしとして生産緑地の行為制限が解除され、所有者により民間事業者へ売却をされました。当該開発地は、その特徴的な地形により、貴重な緑が存在する国分寺崖線上にあり、本市にとっても大変貴重なものではございました。しかしながら、所有者のご事情もある中で、生産緑地の買取希望への回答は極めて限られた期間内での速やかな判断を余儀なくされております。もう庁内だけでなく、東京都へ買取照会を行うなど、土地の買収、借用その他の保全、活用についての検討も行いましたが、買取りにかかる多額の財政負担については、慎重かつ総合的な判断をしたところでございます。」
森戸ようこ
「時間がないので、今そういう答弁でありました。市長、やっぱり、私は東京都とよく話し合うべきだったと思いますね。いろんな知恵が働くんですよ。例えば、栗山公園も、あれもマンションができるとなったときに、小金井市は東京都にまず買ってもらった。それで、年次計画を立てて、東京都へお金を払って売却をして、最終的に、全面的に小金井市の土地にしてきたとか、やり方はいろんなやり方をできるはずなんですよ。
 市長も都議会議員だったわけですから、やっぱり、そういう知恵を働かせて、本気で国分寺崖線を守るという立場で、私は動いていただきたいし、今からでも遅くないと思います。ぜひ、民間業者とも話し合って、国分寺崖線だけは残すということで頑張っていただきたいということは強く申し上げておきたいと思います。」

2023年第1回定例会 2023/3/1 一般質問(森戸ようこ)

森戸ようこ(日本共産党小金井市議団/日本共産党)
「宅地開発に伴い、屋敷林の樹木などが消失しています。東町五丁目の宅地開発では、近隣住民の方からも、緑がなくなることに心を痛めていらっしゃいます。温室効果ガスを削減するためには、民有地の緑の確保が急務であると考えています。とりわけ、国分寺崖線の一団の緑は、市が財政的な負担をしても保全する必要があると考えています。例えば、ムジナ坂から武蔵野公園の間の緑、さらに、中町四丁目、貫井南町三丁目、貫井神社辺りを含めて、東京都と連携して保全を図るべきであると考えますが、市はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。小金井市まちづくり条例等で国分寺崖線の保全等を位置付けるように、環境政策部門からも、まちづくり担当課に要請をし、連携して、後追いではなく、先を見た緑の保全対策をとっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
そして最後ですが、国分寺崖線沿いの前原町三丁目の宅地開発は、非常に多くの緑が消失してしまいました。国分寺市では、緑地や遊水等の優れた自然環境を保全するための独自の開発基準などを定めています。環境共生型の土地利用を目指した取組を進めていますが、小金井市として、緑化割合や保存樹木の割合を高める指導をしっかりと行っていただきたいのですが、いかがでしょうか。」
環境部長
「それでは、例えばムジナ坂から武蔵野公園の間の樹林地につきましては、既に武蔵野公園の都市計画区域に指定されておりまして、東京都により保全が図られる緑であると認識しております。また、国分寺崖線はみどりの基本計画におきましても緑の軸に位置付けており、今後も東京都と連携しながら、適切な管理及び保全に努めてまいりたいと考えております。
次に、本市の令和2年度より、宅地開発等指導要綱を改正いたしました。中高層建築事業につきましては、公園や緑地の整備割は割合を2%上乗せし、開発区域面積の1,000平米以上3,000平米未満につきましては5%、それから、3,000平米以上につきましては8%以上とし、地域全域で国分寺市の国分寺崖線区域内と同程度の指導をしています。また、令和4年度より、200平米以上の建築行為に対しても緑化指導を行い、まちなかの緑の保全・創出に努めているところでございます。
ただ、敷地内の緑化につきましては、国分寺市は本市より厳しい基準で指導をしていると認識しているところですが、宅地開発に伴う緑化の指導は、私有財産に対して制限をかける行為となりますので、慎重に研究する必要があるかなと考えています。特に国分寺崖線区域内の開発行為に対して現状よりも強い制限をかけることは、国分寺崖線沿いの地権者の公平性の配慮を十分にしなければならないと考えておりますので、大変申し訳ございませんが、研究課題とさせていただければと思っております。」